
Direct Write

3D NANDフラッシュ搭載SSDにおける書き込み最適化技術
背景:TLCとSLCキャッシュ技術
Direct Writeとは?
Direct Write(ダイレクトライト)とは、SLCバッファを経由せずに、データをTLC領域に直接書き込むプロセスのことです。以下のような状況で発生する可能性があります:
- SLCキャッシュが満杯、または一時的に使用できない場合
- SSDのファームウェアがそのデータを「コールドデータ」と判定した場合
- キャッシュを使用しない構成で、耐久性や安定性を優先する設計の場合
SSSTCの社内研究開発チームによって最適化されたDirect Write技術は、持続的かつ高負荷な書き込み状況でも一貫した性能を発揮するよう特別に設計されています。レイテンシを最小限に抑え、データ書き込みプロセスの冗長な手順を排除することで、安定した持続的な書き込み速度を実現します。Direct Writeの核心的な強みは、SLCキャッシュにほとんど依存せずにNANDフラッシュへ直接書き込める点にあります。これによりデータパスが簡素化され、中間バッファを排除でき、集中的な書き込み処理中でも安定したパフォーマンスが保たれます。
Direct Writeに適した用途
SSSTCのDirect Write技術は、継続的かつ頻繁な書き込み処理が求められる以下のような用途に非常に適しています:
-
書き込みキャッシュのない産業用・組み込みシステム
- エッジデバイスでのセンサーデータ記録
- 産業用オートメーション機器でのデータ取得 -
予測可能なレイテンシと低書き込み増幅を要求する高信頼性アプリケーション
- プロフェッショナル映像制作やメディアストリーミング
- 車載ビデオ録画システム -
長期データ保持を必要とする装置(例:レコーダー)
- ネットワークビデオレコーダー(NVR)
- 監視カメラシステム
- テレビ録画
これらのアプリケーションでは、リアルタイム処理、連続運転、高解像度出力、長時間稼働、データ損失ゼロ容認という要件が一般的です。そのため、書き込みの安定性は非常に重要です。
Direct Writeを活用することで、データの取りこぼし、フレーム落ち、ファイル破損、録画の中断などの問題を効果的に防止し、シームレスなデータ取得と保存が可能になります。大量の連続データ書き込みにも安定して対応し、書き込み速度の一貫性、動作の安定性、そしてコンテンツの品質維持を実現します。
なぜDirect Write対応SSDを選ぶべきか?
最適化されていないSSDでは、特に映像処理を中心とした環境で、大容量かつ長時間にわたる書き込み作業に対応しきれないことがあります。データの継続的な流入にSSDが追いつかず、パフォーマンスのボトルネックや書き込み遅延、さらにはデータ損失が発生するリスクがあります。特にSLCキャッシュへの依存度が高いSSDでは、キャッシュが枯渇した瞬間に書き込み速度が著しく低下し、システムの安定性に影響を与えます。
Direct Write技術はこの課題に対処するために、SLCキャッシュへの依存を排除し、長期間にわたって安定した予測可能な書き込み性能を提供します。たとえば、4K映像の連続録画や24時間365日の高負荷運用といった厳しい条件でも、Direct Write対応SSDは常に安定した性能を維持します。
その高い信頼性により、Direct Write対応SSDは、連続的かつデータ集中的な映像録画や他の要求の厳しいアプリケーションに最適な選択肢となります。
Direct Writeは、3D NANDフラッシュアーキテクチャをベースとするSSDにおいて、性能、耐久性、安定性のバランスを実現する重要な書き込み戦略です。この技術の仕組みと基盤を理解することで、システム設計者は用途に応じたキャッシュ構成やSSD導入戦略を最適化できます。
SSSTCのSSDアーキテクチャやDirect Write技術対応製品について詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせいただくか、製品カタログをご参照ください。